綱渡り rope dance 2003 8 28

 株価が戻って、景気回復への道筋が見えてきましたが、
実は、ここから先が、むずかしいかもしれません。
 景気回復と国家財政は両立しないと思います。
どちらかが破綻する可能性があります。
 景気回復に従って、長期金利は上昇します。
しかし、国家財政は、巨額の国債と、巨額の国債発行で支えられているのです。
だから、景気回復の兆しは、一応、明るいニュースですが、
別の大きな問題を引き起こすのです。
 株価の上昇速度を、長期金利の上昇速度が上回ったら、どうなります。
最近、メガバンクは、債券売りを加速させていますが、
はたして、どうなるか。
 「10年物国債利回り」のグラフを見ると、
これに、チャートの理論を当てはめると、
7月は、上昇した後の、3分の1の押し目だったのです。
この調整が終わったので、また、上昇を始めた。
 現在は、また、急上昇した後の保ち合いです。
しかし、今度は、形が、フラッグ型です。
この場合、フラッグのポールの長さの分だけ上昇する可能性があります。
 長期金利をコントロールしつつ、景気回復を図る。
景気回復したら、国家財政が破綻した。
そうならないためにも、「綱渡り経済政策」でもあるのです。
 しかし、この「綱渡り経済政策」はむずかしい。
だから、専門家によっては、安易ですが、
預金封鎖をしつつ、インフレを起すべきであると主張します。
インフレになりますと、現金の価値が落ち、借金が楽になります。
デフレになりますと、現金の価値が上がり、借金が苦しくなります。
すると、借金が多い人には、インフレが魅力に見えます。

 今朝の新聞では、
「大手銀行の住宅ローン金利」
「2か月、連続引き上げ」とあります。
これは、長期金利の上昇による影響です。
このまま、長期金利が上昇すれば、
長期固定の住宅ローンが銀行の収益の重荷と判断されたためです。

 ある人が、事業を始めたいとします。
事業には、お金が必要なので、お金を集める必要があります。
しかし、なるべく、コストをかけないで、お金を集めたいのです。
そこで、100万円でお金を集めて、事業が成功したら、
101万円で返すという計画にしました。
 しかし、投資家から見れば、
その人の財務内容や事業計画は、不安に見えました。
 なかなか、投資家が動いてくれないので、
その人は、100万円で、102万円返すということに変更しました。
 しかし、これでも、投資家は動きませんでした。
そこで、返す金額をまた引き上げました。
この繰り返しで、ついに、返す金額が120万円になりました。
 しかし、これでは、100万円で120万円返すとは、
いくらなんでも無理があるので、
その人は、事業をあきらめることになりました。
 ある人が、100万円の証文を発行し、投資家から99万円を受け取る。
または、100万円の証文を発行し、投資家から80万円を受け取る。
これでは、損ですね。